2024.03.04

抗がん剤治療中におすすめの歯磨き粉|口腔内トラブルを減らすには?

抗がん剤治療中におすすめの歯磨き粉|口腔内トラブルを減らすには?

抗がん剤治療*1を受けるにあたっては「口腔ケアが重要」なのをご存じでしょうか?

免疫の低下、悪心*2・嘔吐、下痢、脱毛などの代表的な副作用*3の陰に隠れがちですが、抗がん剤は口内炎や口腔乾燥、虫歯、歯周病の悪化などの口腔内トラブルも発生させます。口腔内トラブルは苦痛が大きく、がん治療中の生活に大きな影響を与えるため、軽視はできません。

それどころか、もし口腔内トラブルを重篤化させると、食事摂取量の減少による栄養状態の悪化、炎症部位の二次感染などを引き起こし、全身状態が悪化して治療の継続が難しくなるケースさえあるのです。

口腔内トラブルの出現頻度は高く、例えば抗がん剤治療を受ける患者の3~4割に口内炎が、4~7割に口腔乾燥が生じるとされています。抗がん剤が口腔の粘膜や唾液腺を傷害し、炎症やただれが生じやすくなったり唾液の分泌量が減ったりすることがトラブルの主な原因です。

抗がん剤治療中は唾液による抗菌作用や自浄作用が十分に働かず口腔内の微生物(細菌・真菌・ウイルス)が急増するとされています。そのため炎症や二次感染が生じやすく、すぐに拡大して重篤化しやすい状態です。

しかし口腔ケアで口の中の微生物を少なくすれば、炎症や感染の発生・拡大を抑制することができます。抗がん剤治療前の歯科治療やクリーニングに加えて、ご自身による日々の口腔ケア(歯ブラシによるブラッシングやうがい)がとても重要になるのです。

*1 抗がん剤治療:がん化学療法と呼ばれることもありますが同じ意味です。なお、抗がん剤は抗がん薬とも呼ばれます。
*2 悪心(おしん):腹部のむかつき、吐き気・嘔気(おうき)のこと。抗がん剤の副作用としてよく使われる言葉です。
*3 副作用:近年は医療現場では薬理作用に主・副の区別はないとの理由から有害反応、有害事象などと呼ばれますが、本記事では一般に分かりやすく「副作用」と記述します。

◎抗がん剤の副作用はなぜ起こる?
多くの抗がん剤は、がん細胞だけでなく正常な細胞にも毒性を持ちます(細胞毒性)。分子標的型などの一部を除き、抗がん薬はがん細胞と正常な細胞を区別できません。そのため、全身にさまざまな有害反応(副作用)が生じやすく、特に細胞の分裂や増殖が盛んな骨髄、口腔や食道・胃・腸などの消化管の粘膜、毛根などが大きな影響を受け、白血球の減少(免疫の低下)、消化器症状(悪心・嘔吐・下痢・口腔トラブル)・脱毛などの有害反応につながります。

抗がん剤治療中も歯磨き粉を使った口腔ケアは可能?

抗がん剤治療中でも、炎症が強くてしみる場合を除き、歯磨き粉を使用した歯磨きが推奨されます。研磨剤や発泡剤(界面活性剤)、清涼剤などを含まない低刺激の歯磨き粉を使うとよいでしょう。

歯磨き粉を使用したほうが効率よく歯垢を除去でき、また歯に歯垢が付きにくくなります。歯垢は「プラーク」とも呼ばれる、細菌とその代謝物のかたまりです。炎症の発生や拡大、感染を防ぐためにもなるべく除去しましょう。

また、歯磨き粉を使うと口の中がさっぱりし、口臭も除去されるため、吐き気の緩和や食欲の増進が期待できます。

抗がん剤治療中は口腔の粘膜がもろくなっているため、歯磨き粉の成分には気を付けたいところです。市販されている低刺激の歯磨き粉にはさまざまな種類のものがありますが、天然由来成分の歯磨き粉ならさらに刺激が少なくなります。また、刺激物であるエタノールが含まれていないかもチェックしましょう。

抗がん剤治療中の方のための専用歯磨き粉もあるので、ご自身に合うもの選んでみてください。

なお、口内炎などの口腔内トラブルで歯磨き粉がしみる場合は使用を控え、水や生理食塩水、低刺激のマウスウォッシュ(洗口液)を使ってブラッシングを行います。

痛みが強くてブラッシングも難しい場合は、マウスウォッシュでうがいだけは続けましょう。1日3回以上、できれば8回程度、のどを洗う「ガラガラうがい」ではなく口を洗う「くちゅくちゅうがい」を行います。

抗がん剤治療中は、口腔の乾燥が進む場合があります。乾燥が強いと粘膜がさらに傷つきやすくなるため、水やマウスウォッシュでよくうがいをしたり、口腔用の保湿剤(ジェル)でくちびるや口角、口腔内を保湿したりしてから歯磨きするとよいでしょう。

抗がん剤治療中におすすめの歯磨き粉と口腔ケアグッズ

抗がん剤治療中は口腔内トラブルの発生や拡大を抑えるため、歯磨きやうがいで口腔内の清潔を保つこと、保湿で乾燥を防ぐことが重要です。口腔の粘膜がもろくなっているため、歯磨き粉や保湿剤、マウスウォッシュは低刺激のものを使いましょう。

抗がん剤治療中の方も使えるおすすめのアイテムをご紹介します。

マウスウォッシュとしても使用できる歯磨き粉

  • バイオペーストV

天然成分だけで作られているのが特徴の低刺激歯磨き粉です。食品レベルの安全性をもつため、口をゆすぐことができないときも使用できます。抗がん剤治療中で口腔内の状態が良くないときのケアにもおすすめのアイテムです。

洗浄力が高く、歯垢の再付着も防ぎ、口臭予防もできるなど、高機能。しかもペーストを舌にのせて水を含めばマウスウォッシュとしても利用可能で、歯磨きが難しい状態になっても重宝します。

バイオペーストV」について詳しくはこちら

低刺激で発泡洗浄剤が無配合の歯磨き粉 

  • ジェントルトゥースペースト

「唾液のチカラ」に着目して開発した低刺激の歯磨き粉です。発泡洗浄剤(ラウリル硫酸ナトリウム)無配合で、お口に優しく、いつも使っていた歯磨き粉がしみるようになったら使用をおすすめします。

虫歯の原因菌の活動を弱め、歯に歯垢が付きにくくする成分「キシリトール」を配合。さらに保湿成分も配合されているため、お口の乾燥が気になる方にもおすすめです。要介護の方の口腔ケアにも適しています。

「バジェントルトゥースペースト」について詳しくはこちら

歯磨き後の乾燥予防におすすめの保湿剤

  • ジェントルマウスジェル

ジェントルトゥースペーストと同様、「唾液のチカラ」に着目して開発したマウスジェルです。低刺激でお口を優しく潤します。お口を保湿したいという方だけでなく、抗がん剤治療中で口腔乾燥が進んでいる方にもおすすめのアイテム。歯磨き後や就寝前の使用で、日中や夜間のお口の乾きを緩和します。

虫歯の原因菌の活動を弱め、歯に歯垢を付きにくくする成分「キシリトール」を配合。義歯が入っている方にもご使用いただけるので、要介護の方の口腔ケアにもおすすめです。

「ジェントルマウスジェル」について詳しくはこちら

刺激が少なくてしみにくいマウスウォッシュ

  • ジェントルマウスウォッシュ

「ジェントルトゥースペースト」同様、「唾液のチカラ」に着目して開発したマウスウォッシュ(洗口液)です。市販の洗口液は多くは刺激が強く、お口の中が荒れている方には向きません。ジェントルマウスウォッシュなら低刺激でしみにくく、口腔内トラブルで歯磨きをしにくい方でもご利用いただけます。

虫歯の原因菌の活動を弱め、歯に歯垢を付きにくくする成分「キシリトール」を配合。さらに保湿成分も配合されているため、お口の乾燥が気になる方にもおすすめです。

「バジェントルトゥースペースト」について詳しくはこちら

抗がん剤治療中の口腔内トラブルを減らすためにできること

抗がん剤や口腔・頭頚部の放射線治療によって生じる口腔内トラブルには、口内炎(口腔粘膜炎)、歯肉炎、歯周病や虫歯の悪化、口腔乾燥、味覚障害などがあります。冒頭でもお伝えした通り、口腔内トラブル対策として口腔ケアが重要になります。

治療中はもちろんのこと、治療前の「口腔ケアの貯金」も大切です。治療前・治療中に分けて「すべきこと」をまとめました。

治療前の準備

抗がん剤治療が始まると、倦怠感や悪心・嘔吐などが出現し、セルフケアが難しくなるケースも多く見られます。そこで、できれば治療の開始前に「お口の中をきれいにしておく」ことが重要です。こうしておけば、抗がん剤治療中に細菌などの微生物が多少増えたとしても、炎症の発生や拡大、二次感染を抑制できるでしょう。いわば「口腔ケアの貯金」です。

可能なら治療前に歯科クリニックで虫歯や歯肉炎、歯周病の治療をし、歯垢や歯石、舌苔の除去などのクリーニングを済ませておくとよいでしょう。

治療中

抗がん剤治療中はこまめな歯磨きやうがいで口腔内の清潔を保ち、乾燥対策として保湿をします。口内炎や口腔乾燥は抗がん剤の使用後、数日~10日目ごろに発生することが多いです。

口腔の粘膜が乾燥すると傷つきやすくなり口内炎の発症につながります。乾燥をそれほど感じない段階から、うがいや保湿剤(ジェル)の使用などによって口の中の潤いを保つことが大切です。

うがいは口の中を洗う「くちゅくちゅうがい」を1分間ほど行います。起床時・毎食前後(あるいは歯磨き前後)・就寝前などに1日4~8回実施するのが目安とされています。

歯磨きは、低刺激の歯磨き粉を使用し、毎食後と就寝前の1日4回行うのが理想です。歯ブラシはやわらかいものを使い、歯に垂直にやさしく当てて、横に細かく振動させます。歯ぐきや舌の表面も優しく磨きましょう。できれば歯間ブラシやデンタルフロスなどを使って歯間の歯垢も除去します。

倦怠感や吐き気などで歯磨きがつらい場合は、可能なら1日1回はブラッシングをするとよいでしょう。それも難しければ、こまめにうがいをします。

さまざまな工夫で抗がん剤治療の「つらい時期」を乗り切りましょう

多くの抗がん剤は、がん細胞と正常な細胞を区別せずに攻撃します。そのため、副作用の出現自体を防ぐことは難しく、十分な対策を講じたうえで、発生してしまったら症状を最小限にとどめて緩和を目指すという方向になるでしょう。口腔内トラブルについても同様です。

ただし、闘病中で抗がん剤治療を受けるなかで、毎日、何回もの口腔ケアを自分で行うのは負担が大きいものでしょう。例えば歯磨きについても1日4回が推奨されますが、記事中にも書いた通り「つらければ最低1日1回」、それも難しければ「うがいだけでも」という考え方で、過度なストレスを感じない範囲で取り組むことが大切です。

また、がん闘病中の方を支えるさまざまな便利グッズも開発されています。

スヴェンソンが運営する副作用ケアアイテムの総合サイト「PreSta(プレスタ)」には、今回紹介した歯磨き粉や保湿剤、マウスウォッシュなどの口腔ケア商品以外にも、ウィッグ、頭皮ケア、ネイルケア、スキンケアなどのさまざまなアイテムが紹介されていますから、ぜひ一度ご覧ください。

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