「医療用弾性(だんせい)ストッキング」というストッキングがあるのをご存知でしょうか?特殊な編み方により足をしっかりと圧迫し、血行やリンパの流れを促進する特別な靴下です。
どのような症状のとき必要か、医療用と市販のストッキングの違いは何か、サイズ、タイプ、メーカー、着用感…この記事では医療用弾性ストッキングの基本をお伝えしたいと思います。
目次
医療用弾性ストッキングとは?|医療用弾性ストッキングでむくみを解消
医療用弾性ストッキングと市販のストッキングの違い
まず、医療用弾性ストッキングは「一般医療機器」です。圧迫力が非常に高いため、正しく着用するためにはサイズをきちんと測り、医療従事者から履き方の指導を受けることをおすすめします。
医療用弾性ストッキングは足首から太ももにかけて、段階的に圧迫をかける特殊な編み方により作られています。リンパ浮腫や下肢静脈瘤による「むくみ」は医療用弾性ストッキングを着用することで、症状を和らげることができます。ご自身にあったサイズを選ぶことがとても大切です。なんとなくいつものサイズ、ではなく購入前に必ず計測してください。
市販の着圧ストッキングは医療用と比べると圧迫圧が低めに設定されています。そのため、症状の改善効果は限定的です。
医療用弾性ストッキングはいつ履いたら良いのか。睡眠時に履いても良いのか。
医療用弾性ストッキングは、日中着用することを推奨されています。立っているとき、デスクワークをしているときは重力により血液が脚にたまりやすくなり、その状態を想定し圧力を設計しているからです。
また、医療用弾性ストッキングは特殊な素材でできています。皮膚トラブルを避けるためにも一日中着用するのは避けるようにしましょう。
睡眠時も着用したい、長時間利用する予定がある、そんな場合は医師に相談してください。
医療用弾性ストッキングの効果は?
がん治療により、リンパ管やリンパ節に影響を受けた方はリンパ浮腫を発症する可能性があります。リンパ浮腫は手足にむくみが現れる疾患で、脚が重く動かしにくい、押すと痕がつく、皮膚がつまみにくくなる、皮膚が硬くなる…症状は進行の段階によって異なります。
リンパ浮腫の治療の1つに「圧迫療法」があり、医療用弾性ストッキングを用いる方法があります。適度な圧力を持続的にかけることにより、むくみをできるだけ軽減させ、その状態をキープするのが目的。医療用弾性ストッキングはその効果が期待されています。
おすすめの医療用弾性ストッキングは?どこで買える?
Prestaの医療用弾性ストッキング
がん治療中の生活をサポートするさまざまなアイテムが揃うPreSta。もちろん医療用弾性ストッキングも扱っています。

すでに弾性ストッキングを着用されていたり、探している方ならすぐに気づくと思いますが、こちらは医療用とは思えないほど自然な見た目!
MAEÉ(マエエ)はリンパ浮腫と生きる方のために、2020年に誕生したブランドです。気持ちが「前へ」進むことを目指して、「美しさも追求した医療用ストッキング」を手がけています。

最大43hPaの段階圧力設計。医療用ならではの高い圧迫力で脚のむくみを予防・改善します。リンパ液の巡りを妨げないよう、鼠径部は切り替えレス。術後の傷跡に縫い目があたらないよう配慮されています。サイドはリブ編み部分が姿勢に応じて自在に伸縮するため、座った姿勢でも窮屈さを感じない工夫が施されています。
こちらはストッキングにガードルを合体させた一体型で、重ね履きする必要がなく1枚で下半身をまるごとケアできるのも特長です。
◾️MAEÉ コンプレッションストッキング
グンゼの医療用弾性ストッキング
インナーウェアやストッキング、靴下など高品質な製品作りを手がけるGUNZE。メディカル分野では、日本人の体型に合わせて設計された医療用弾性ストッキングも開発しています。
レッグサイエンスはGUNZEが独自に収集した、日本人の足型データをベースに作られた医療用弾性ストッキング。圧力設計、着脱のしやすさ、長時間履いても蒸れにくい通気性、正しいポジションで着用するための目印…これまで日本人の足を見つめ続けたGUNZEならではの技術やノウハウが凝縮されています。
◾️GUNZE(メディカル分野)
ドラッグストアで買える医療用弾性ストッキング
しかすると、ドラッグストアを見ていて「あれ、これって医療用弾性ストッキング?」という商品を目にすることがあるかもしれません。
たとえば美脚ケア商品を数多く揃え、メディアでも頻繁に取り上げられている「メディキュット」。日中用やお休み用だけでなく、医療用の弾性ストッキングも展開しています。
ただし医療用弾性ストッキングは医療機器です。ドラッグストアで販売されているものは、手軽に購入できるぶん、病院や専門サイトのものより圧迫圧が弱い傾向にあります。
また、パッケージのイメージから医療用弾性ストッキングだと思ったら、着圧ストッキングだった!ということもありそうです。もちろん、日常的な足のむくみや疲れをすっきりさせたい場合は問題ないのですが、治療として使用を考える場合は、圧力やサイズをしっかりと確認してください。
おすすめの男性用医療用弾性ストッキング
ここまで女性用の医療用弾性ストッキングについてお伝えしてきましたが、男女兼用や男性用を展開しているブランドについてもご紹介したいと思います。
THERAFIRM(セラファーム)はアメリカで50年の歴史を持つ老舗。男性用、女性用、男女兼用を展開しています。やわらかな素材で履きやすく、高い伸縮性のある生地が人気です。
VENOFLEX(ヴェノフレックス)は医療用装具を専門とするフランスのトップメーカーTHUASNE(チュアンヌ)によるブランド。コットン製で肌なじみがよく、通気性が高いのが特長。
これまで運動機能をサポートするさまざまな装具を手がけてきた実力が、反映されています。男性用、女性用を展開しています。
◾️THERAFIRM/商品カタログ
◾️THUASNE/商品カタログ
詳しく見る(※)
※最新のカタログ情報を掲載しているソルブ株式会社様の情報を参照
医療用弾性ストッキングは医療控除の対象なのか
2008年4月からリンパ浮腫治療のための弾性着衣(弾性ストッキング、弾性スリープなど)の購入が保険適用となりました。
購入費用を療養費として支給を受けるためには、いくつかの条件がありますので、ご確認ください。
対象
・リンパ節切除を伴うがんの手術を受けたあと、四肢(腕や足)にリンパ浮腫を発症した方、または「原発性リンパ浮腫」と診断された方。
・医師の指示に基づき購入したもの。
・商品の着圧が30mmHg以上のもの。※医師の判断により20mmHg以上のものでも可能。
支給の上限
- 購入枚数
装着部位ごとに1回の申請で2着まで。
- 回数
年2回まで。2回目の申請は、1回目の領収書が発行された日より6ヶ月以上たってから。
- 金額
全額支給されるわけではありません。下記の金額を上限とします。
・弾性ストッキング(1着) 28,000円
・弾性ストッキング片脚用(1着) 25,000円
・弾性包帯(下肢) 14,000円
申請方法
①保険者から指示書を取り寄せ、担当医に「弾性着衣等装着指示書」の作成を依頼します。
②弾性着衣を(自己負担で)購入します。
※このとき、必ず領収書を発行してもらってください!
③保険者に必要書類を提出します。
④保険者による審査後、ご自分の口座に金額が振り込まれます。
この情報は2020年4月に定められた制度に基づき記載しています。
制度が変更になると内容も異なりますので、詳しいことは申請する窓口の職員にご確認ください。