医療用ウィッグ(かつら)の価格は数千円〜何十万というものまで、大きな幅があります。その違いはどこにあるのでしょうか?人毛100%かそれ以外か、人工皮膚の有無、手植えか機械植えか、フルオーダーか既製品か、…細かな要素により製品の値段が変わります。この記事では医療用ウィッグの相場と、利用できる助成金制度についてお届けします。
目次
医療用ウィッグとは?失敗しない選び方を解説
「医療用ウィッグ」と聞いても、ファッションで使うウィッグとどう違うのかよくわからない…という方が多いかと思います。医療用ウィッグは、抗がん剤治療などによる副作用での脱毛をカバーするため、治療中の方が安心して使用できるように工夫・配慮された特別なウィッグです。医療用ウィッグを選ぶ際は、以下のポイントに注意することで、購入後に後悔しない選択ができます。
「M.wig・Med・ウィッグマーク」の有無をチェック
安心して選べる目印として「M.wig・Med・ウィッグマーク」が存在し、2015年に医療用ウィッグのJIS規格(JIS9623)が制定されました。厳しい基準をクリアしたウィッグのみがこのマークを取得しており、品質や安全性が保証されています。このマークがある製品は、医療現場での使用にも耐えられる品質を持っていると判断でき、選ぶ際の大きな指標となります。

素材と製造方法を確認する
医療用ウィッグの価格や仕上がりは、使用される毛材(人毛、人工毛、ミックスなど)や製造方法(ハンドメイドかマシンメイドか)で大きく変わります。自然な見た目とフィット感を求めるなら、人毛やハンドメイドのウィッグが理想ですが、予算に合わせて選ぶ必要があります。また、人工皮膚の使用有無も自然さに影響するため、細かい仕様を確認しましょう。
アフターサポートやメンテナンス体制の確認
長く快適に使用するためには、購入後のサポートやメンテナンス方法の充実も重要なポイントです。ウィッグのケア製品が豊富に用意されていることや、修理やサイズ調整が行えるサービスがあるかどうかを確認することで、長期的に安心して使用できます。
価格と助成金制度の情報収集
医療用ウィッグは、価格に幅があり、使用される素材や製造方法によっても異なります。ご予算に合わせた選択が必要ですが、さらに自治体によっては、ウィッグ購入に対する助成金制度が利用できる場もあります。購入前に、自身が対象となる助成制度の有無をチェックし、経済的負担を軽減できるかどうか確認しておきましょう。
これらのポイントをしっかりと確認することで、見た目の自然さや快適さはもちろん、安心して長期間使用できる医療用ウィッグを選ぶことができます。
医療用ウィッグについて詳細はコチラの記事でご紹介しています。
医療用ウィッグとおしゃれウィッグの違いとは?
いわゆるファッションウィッグ(普通のウィッグ)は数千円程度で買えるものがあるのに、医療用ウィッグはなぜ高いのだろう?と思う方もいるかもしれません。その理由は使う目的が違うからです。
医療用ウィッグは治療で付けることが前提=地毛がない状態に対しての配慮が随所になされています。アレルギー検査等を通った「M.Wig・Med・ウィッグマーク」の認証の有無によって値段も違います。また、製造方法、人毛比率、人工皮膚の範囲、毛を束で植えるか(マシンメイド)一本一本植えるか(ハンドメイド)、耳芯の有無、内側のネット部分に機能性素材を使用か未使用か…など、細かなディテールによっても値段は変わります。
一方ファッションウィッグは、地毛がある状態で付けることを前提としています。
脱毛中の敏感な頭皮を刺激しないためにも、値段は高くとも医療用に作られたものを使用することをおすすめします。
医療用ウィッグとファッションウィッグの違いについて、詳細はコチラの記事でご紹介しています。
医療用ウィッグの相場とは?
毛材の種類・人毛の比率
医療用ウィッグの毛材には「人毛」「人工毛」「MIX毛」があります。人毛は人の毛髪を特殊加工したもの。人工毛は化学繊維で作られたもの、MIX毛は人毛と人工毛をブレンドしたもの。
値段は一般的に「人毛>ミックス毛>人工毛」の順に高価>安価となります。ただし、MIX毛は人毛と人工毛の比率によって、値段が変わりますので注意が必要です。
毛の長さ
使う毛量が多い方が値段も高くなります。
そのため、一般的には「ロング>ミディアム>ショート」の順に値段も高価>安価となります。ロングの方がショートより倍以上毛量が必要なため、当然といえば当然かもしれませんね。
人工皮膚の有無

人工皮膚とは、人の頭皮に似せた特殊な素材で作られたもの。主につむじや分け目部分に使用します。人工皮膚のある医療用ウィッグは、頭皮から髪の毛が生えている印象がより自然ですが、そのぶん値段も高くなります。また、人工皮膚にはいくつか素材があり、使う素材によっても値段は変わります。
既製品とオーダータイプ
「既製品」「セミオーダー」「フルオーダー」によって値段は大きく異なります。頭のサイズを細かく計り、毛材を選び、ミリ単位で自分の理想に仕上げていくフルオーダータイプは値段も高くなる傾向にあります。ただし唯一無二ともいえる、自分にぴったりのウィッグが作れるのは大きな魅力です。
製造方法
医療用ウィッグは、職人が髪の毛を1本ずつ手植えする「ハンドメイト」と、ミシンなど機械を用いて毛束を一気に縫い合わせる「マシンメイド」があります。手植え(ハンドメイド)の方が、全体のバランスを見ながら仕上げていくため毛の流れが自然ですが、手間がかかるぶん値段も高めになります。
カバー範囲による違い
脱毛をカバーする範囲により大きく分けて「フルウィッグ」と「部分ウィッグ」の2タイプがあります。「フルウィッグ」は頭全体の脱毛をカバーするウィッグ。地毛をネットやキャップでまとめ、その上からウィッグをかぶります。「部分ウィッグ」はヘアピースとも呼ばれ、部分的にカバーするウィッグ。治療を終え、ある程度地毛が伸びてきたものの、まだ生え揃わない部分に使用します。値段はフルウィッグの方が面積が大きくなるため、高めになります。
サロンの有無
通販より、サロン販売の方が一般的に値段は高めになります。通販は好きな時間に好きなペースで、さまざまなサイトを比較検討できる良さがあります。一方、サロンはその道のプロに相談できたり、試着がいくつもできたり、細やかな注文が伝えられるメリットがあります。
医療用ウィッグの相場
「既製品」「セミオーダー」「フルオーダー」によって値段は大まかに下記のように分けることができます。その中でも毛材やスタイル、製造方法、人工皮膚の有無、サロンか通販かなどにより、価格は変わります。
既製品|8千円~10万円台
セミオーダー|8万円台~30万円台
フルオーダー|30万円台~80万円台
医療用ウィッグと普通のウィッグの違いと価格差
いわゆるファッションウィッグ(普通のウィッグ)は数千円程度で買えるものがあるのに、医療用ウィッグはなぜ高いのだろう?と思う方もいるかもしれません。その理由は使う目的が違うからです。
医療用ウィッグは治療で付けることが前提=地毛がない状態に対しての配慮が随所になされています。アレルギー検査等を通った「M.Wig・Med・ウィッグマーク」の認証の有無によって値段も違います。また、製造方法、人毛比率、人工皮膚の範囲、毛を束で植えるか(マシンメイド)一本一本植えるか(ハンドメイド)、耳芯の有無、内側のネット部分に機能性素材を使用か未使用か…など、細かなディテールによっても値段は変わります。
一方ファッションウィッグは、地毛がある状態で付けることを前提としています。
脱毛中の敏感な頭皮を刺激しないためにも、値段は高くとも医療用に作られたものを使用することをおすすめします。
医療用ウィッグとファッションウィッグの違いについて、詳細はコチラの記事でご紹介しています。
助成金制度とは
抗がん剤治療を受けている方を対象に、多くの自治体が助成金制度を設けていることをご存知でしょうか。治療に加え医療用ウィッグの購入は、経済的に大きな負担となります。助成金を利用するにはいくつか条件がありますが、医療用ウィッグを購入する際は、ぜひご確認ください。
助成金制度利用の対象となる条件
医療用ウィッグの助成金申請にはいくつか条件があります。自治体の多くが設けている条件は以下となります。
・助成金制度がある自治体に在住していること
・抗がん剤治療を受けている、又は抗がん剤治療を受けたことがある方
・抗がん剤の副作用により脱毛し、就労や社会参加などにウィッグが必要な方
※その他、納税額等も条件となる場合があります。
また、自治体によっては医療用ウィッグだけでなく、ウィッグネットや胸部補正具購入費等にも助成金制度を用意している自治体があります。
助成金制度の内容については、各自治体により異なります。お住まいの自治体までお問い合わせください。
保険・医療費控除・高額療養費制は対象外
医療用ウィッグは治療と日常生活を安心して行ううえで、必要なアイテムにもかかわらず、
現在では公的な保険適用・医療費控除の対象とはなっていません。
健康保険や医療費控除の制度は、医療現場における治療費用の補助を目的としているため、医療用ウィッグは直接的な治療とは見なされていないからです。
利用可能な地域
助成金制度の確認が出来た自治体をご紹介します。掲載のない自治体にお住まいの方は、直接お問い合わせください。
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監修 齊藤典充 先生 /なごみ皮ふ科院長/医学博士
1933年北里大学卒業、同大学皮膚科に入局
1988年~2000年 米国カルフォルニア大学サンディエゴ校留学
国立横浜病院(現:国立病院機構横浜医療センター)皮膚科、北里大学皮膚科助手、講師、国立病院機構横浜医療センター皮膚科部長、横浜労災病院皮膚科部長、米元皮膚科医院副院長を経て、2020年10月より現職に至る
脱毛のストレスを、 一緒に軽減していきましょう。
抗がん剤治療は、副作用として脱毛をきたすことがあります。その頻度は決して低くはありません。見た目が変わることは、さらに 精神的負担となってくると思います。脱毛を完全に予防するのは難しいとは思いますが、毛髪が再度生えてくることも多く、治療中に行うと良いケアもありますので、今できることを一緒に考えてみましょう。